ビデオ4


ルーファウスはベッドの上に横になっている。
シャツだけを羽織って、それもほとんどはだけたような状態だ。下半身は何も付けていない。足首の枷だけだ。くるぶしまで覆っていたギプスも外されて、痛々しく変色した踵が晒されている。ベッドのシーツも、あちこち血の跡が滲んでいた。
眠っているのか、目を閉じて動く気配もないが、息が荒い。額には汗が浮いている。この部屋の温度のせいではなく、熱があるのだろう。
ドアを開けてミュッテンが入ってきても、目を開けようともしなかった。

「おい、社長」
ミュッテンは乱暴にルーファウスの肩を引き起こして揺すった。
ルーファウスは薄く目を開く。
「またパスコードが変更されてるぞ。どうすればいい」
「…」
掠れた声で何か呟くが、聞き取れない。
「はっきり言え!」
ミュッテンはルーファウスの頬を打つ。さして力が入っているわけでもなかったが、がくりと上半身がベッドから落ちて、そのまま起き上がる気配もない。
投げ出された脚にはまだじくじくと血と漿液のにじみ出ている火傷の跡がある。
ミュッテンの目が、その傷に釘付けになる。
やがてゴクリと喉を鳴らし、ルーファウスの身体をベッドへ引き上げるとむき出しの脚を担ぎ上げた。

挿し貫いたときだけ、ルーファウスは小さく呻き逃れようとするようにもがいたが、間もなく身体から全ての力が抜けた。
ぐったりと反応無く横たわった身体を犯しながら、ミュッテンはこれはこれでなかなかいい、と思った。
熱のある内部は熱く、なのにまるで死体のように弛緩している。
欲望のままに蹂躪し、事が終わった後にようやくこのままではまずいかもしれないと気づいた。


「こりゃあひどい」
ルーファウスの身体を一目見て、キルミスターはそう呟いた。
「うるさい。つべこべ言わずに治療しろ」
「少しは手加減しないと、死んでしまうぞ。あんたの趣味を兎や角言う気は無いが、相手が神羅社長では話が別だ。まだ殺すには惜しいだろう?」
「だからおまえを呼んだんだ」
「敗血症を起こしかけてる…。それに脱水症状もひどいな。抗生物質と点滴で様子を見よう。しばらくは安静にして、なるべく食事も摂らせた方が良い」
キルミスターは、部屋の隅に置かれたトレーをちらりと見て言う。トレーの上にはコップとカビかけたパンが載せられていた。
「食事は与えている。食べないのはこいつの勝手だ」
「こんなに衰弱していてはとてもあのパンは食べられない」
呆れたように言うキルミスターをミュッテンはじろりと睨んだ。
「他言はするなよ」
「わかっている」
キルミスターは答えながら、心の中でどうしたものかと思案を巡らしていた。

5へ